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ようこそ 佐藤研究室(結晶物理学研究室)へ

はじめに
物理学の発展の歴史は物質の発見の歴史と密接に関わっています。 この研究室では新しい物質の発見を通じて、物理学の面白さを探っていきます。
物理学科で物質の研究?
以前、企業の研究所に就職した友人から「大学は企業のまねばかりせず、大学らしい研究をして欲しい」と言われたことがあります。
私たちは企業とは違い、すぐに応用に結びつく物質を開発しているわけではありません。私たち物理屋が興味を持っているのは、物質という「舞台」の上で繰り広げられる電子たちの美しい振る舞いです。
物理学は自然科学です。その動機は、未知なるものや美しいものへの憧れです。「宇宙の果てにはなにがあるのだろうか?」と不思議に思う子供のような気持ちで未知の物質を探索しています。「自然を人間の都合の良いように応用してやろう」という下心とは無縁です。
それでは、物理学者は社会に貢献していないのでしょうか?そんなことはありません。さまざまな技術革新は、下心のない物理学者の地味な研究に基づいているのです。
1911年にオランダのオネスという物理学者は「非常に冷たい世界では、物質はどんな姿を現すのだろう?」という素朴な探究心で研究を行っているうちに、電気抵抗が消滅する「超伝導」という予想外の現象を発見しました。今でこそ超伝導は電力貯蔵や磁気浮上、高速コンピュータなど様々な産業に結びつきつつありますが、オネスには「いっちょ儲けてやろう」という野心はなかったと思います。(むしろ、ひたすら低温をつくることに何の意味があるのだと批判する人が多かったくらいです。)
もしも、オネスが、すぐに金儲けにつながる成果を出せとプレッシャーをかけられていたら、超伝導という現象は永久に発見されることがなかったかも知れません。
最近、「どれだけ金儲けにつながったか?」という基準で研究を評価するという風潮が広がっているように思いますが、この研究室では、「大学らしい研究」にこだわっていきたいと考えています。