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極限凝縮系物性研究室(橘高研)へ

私たちの研究室では超伝導や量子臨界現象、磁気的フラストレーション効果など固体中の多数の電子が引き起こす新奇な量子現象の研究に取り組んでいます。特に、極低温で磁場方位を精密制御しながら熱力学量(比熱、磁気熱量効果、磁化、磁歪など)を高精度に測定する実験に力を入れています。0.1 K以下の極低温、最大10万気圧の圧力下、最高7 Tの磁場中という極限環境下でも角度分解磁場中測定が可能な装置など、オリジナルの装置開発も進めています。独自の実験アプローチから物性物理学の重要課題に挑みつつ、誰もが予想しない新現象の発見を目指しています。


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( Last updated: Jan. 08, 2023 )

News

2023.01.07
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。Photo Galleryのページを更新しました。
2022.12.24
UTe2の磁化測定に関する論文がPhys. Rev. B 106, 214525 (2022)に掲載されました。東北大、東大物性研、立命館大の研究グループとの共同研究です。筆頭著者は東北大の清水さんです。
2022.10.14
2022年9月は研究室の実験装置にトラブルが多発しました。Photo Galleryのページを更新しました。
2022.08.19
Mn3Snの歪みによる異常ホール効果スイッチングに関する論文がNat. Phys. (2022)に掲載されました。東大、カナダ、米国、英国の研究グループとの共同研究です。主に一軸性圧力下磁化測定に貢献しました。プレスリリースはこちら
2022.08.04
2022年9月12日(月)-15日(木)に東工大で開催される日本物理学会2022年秋季大会で河野助教が口頭発表を行います。
2022.08.04
2022年8月18日(木)-24日(水)に札幌で開催される国際会議29th International Conference on Low Temperature Physics (LT29)で河野助教がポスター発表を行います。
2022.08.04
2022年8月9日(火)-10日(水)に大阪大学で開催される第1回アシンメトリ量子研究会で橘高准教授が口頭発表を行います。
2022.07.31
中央大学オープンキャンパス2022で研究室公開を行いました。Photo Galleryのページを更新しました。
2022.07.29
強磁性超伝導体UCoGeの比熱測定に関する論文がPhys. Rev. B 106, 035152 (2022)に掲載されました。名工大、東大物性研、立命館大、東北大の研究グループとの共同研究です。筆頭著者は名工大の中村さんです。
2022.04.19
ヘリウム再凝縮装置が稼働し、希釈冷凍機が0.02 K以下に到達しました。Photo Galleryのページを更新しました。
2022.04.14
橘高研で立ち上げた液体アルゴン封入加圧装置を用いて対向アンビル型超高圧セルへの液体アルゴン封入に初めて成功しました。液体アルゴンを圧力媒体として使用すれば最高10 GPaの高圧下まで静水圧下での物性研究を行うことができます。



Recent topics

【 2021年5月 】非フェルミ液体的性質を示すCeRhSnの磁場角度分解エントロピー相図
2021年5月のTopicsの図1
CeRhSnはCe原子が擬カゴメ格子を形成しており、スピンの幾何学的フラストレーションが重要な役割を担うと期待されています。先行研究において、ゼロ磁場で非フェルミ液体的性質が報告されており、一般的な金属とは異なる電子状態にあることが明らかにされています。この非フェルミ液体的性質は方位によらず磁場に対して敏感に抑制されることが実験から明らかにされ、磁気フラストレーションによる量子臨界性の可能性が指摘されています。本研究では、CeRhSnが強いイジング異方性を示すことに着目し、非フェルミ液体的性質の磁場角度に対する応答を詳しく調べました。その結果、擬カゴメ格子面近傍のごく狭い角度範囲に磁場をかけると高磁場まで非フェルミ液体的性質(高エントロピー状態)が保持されることを見出しました。さらにその磁場方位のもとでは、低磁場領域でエントロピープラトーが現れることやメタ磁性転移磁場に達すると非フェルミ液体的性質が消失することも明らかにしました。本結果は、c軸方向のイジングスピンゆらぎが異常金属状態の起源となっていることを示唆しています。また、磁場角度分解エントロピー相図から、磁気フラストレーションよりもむしろCeの価数変化が物性を制御する鍵となっている可能性を指摘しました。本研究成果をまとめた論文は日本物理学会が刊行する学術雑誌「Journal of the Physical Society of Japan」に掲載されました
【 2020年7月 】UTe2がノンユニタリースピン三重項超伝導体である可能性を提案
2020年7月のTopicsの図1
近年、UTe2の強磁性量子臨界点近傍で超伝導が発見されホットな話題となっています。パウリリミットを超える上部臨界磁場やスピン磁化率の減少が極めて小さいことなどから、スピン三重項超伝導状態が実現していると期待されています。超伝導秩序変数を決定するためには超伝導ギャップ構造が重要な鍵となりますが、これまでにポイントノードの存在を示唆する実験結果がいくつか報告されているものの、ノードの位置情報については明らかになっていませんでした。本研究では超伝導ギャップの異方性に関する情報を得るために、UTe2の純良単結晶試料を用いて極低温比熱の磁場角度依存性を詳しく調べました。まず、背後にある常伝導状態について調べたところ、a軸に平行な磁場成分が増大すると比熱が有意に変化し、この系ではa軸方向のスピンゆらぎが重要な役割を持つことを明らかにしました。その上で超伝導状態における比熱の磁場角度依存性を詳しく調べた結果、超伝導ギャップのa軸方向にポイントノードがあることを示唆する特徴的な比熱の振る舞いを見出しました。このようなギャップ構造は複数の秩序変数を有するノンユニタリーのスピン三重項超伝導状態と相性が良く、UTe2の秩序変数の有力候補として(b+ic)(kb+ikc)を提案しました。さらに、a軸方向の磁場下ではTcが目立って抑制されることも見出し、容易軸方向の磁化がノンユニタリー状態の秩序変数を制御していると考えればGL理論の枠組みで本現象も定性的に理解できることを示しました。本研究成果をまとめた論文はアメリカ物理学会が刊行するオープンアクセス学術雑誌「Physical Review Research」に掲載されました
【 2020年3月 】PrTi2Al20の強四極子秩序における磁場方位効果
2020年3月のTopicsの図1
PrTi2Al20は立方晶の非磁性Γ3結晶場基底状態を持ち、TQ=2 Kで比熱の飛びを伴う強四極子秩序状態に相転移することが知られています。最近、NMR測定から[001]と[110]方向において磁場誘起の1次相転移が発見され、高磁場で別の四極子秩序相が実現している可能性が指摘されました。一方、[111]方向の磁場下では磁場誘起の相転移は観測されず、PrTi2Al20の温度磁場相図は強い異方的を持つことが分かっています。この異方的な相図を説明するシナリオとして、現象論的に導入された異方的四極子間相互作用とゼーマン効果の拮抗が秩序変数の不連続な変化を生み出している可能性が指摘されました。本研究では、PrTi2Al20の異方的な四極子秩序相の実体を明らかにするために、理論計算可能な熱力学量である比熱とエントロピーの磁場角度変化を詳しく測定しました。立方晶の[001], [111], [110]軸を含む(1-10)面内で磁場を回転させながら測定を行った結果、1 T以上の磁場を[111]方向から僅かに傾けるとTQでの相転移がクロスオーバーに変化すること、[001]方向とは対照的に[110]方向では励起状態とのエネルギーギャップが低磁場領域では大きく変化しないことが明らかとなりました。これらの特徴は、先行研究で提案された四極子間相互作用が異方的に磁場依存する模型を用いて理論計算から定性的に再現することができ、前述のシナリオを支持する結果です。本研究成果をまとめた論文はJournal of the Physical Society of Japan誌に掲載されました
【 2019年7月 】SrxBi2Se3におけるネマティック常伝導状態の証拠
PRL.Fig.3
近年、銅酸化物や鉄系化合物、重い電子系物質などにおいて、結晶の回転対称性を破る新奇な電子状態(いわゆるネマティック電子状態)の研究が盛んに行われています。中でも、母物質がトポロジカル絶縁体であるビスマス・セレン化合物CuxBi2Se3においては、結晶の回転対称性を破る「ネマティック超伝導」が見出され、新しい種類の対称性の破れを伴う超伝導として注目を集めています。我々は、CuサイトをSrに置き換えたビスマス・セレン化合物SrxBi2Se3に着目し、その電子状態の異方性を磁場角度分解比熱測定から詳細に調べました。その結果、本物質では超伝導転移温度より高い温度からネマティック電子状態が実現していることを突き止めました。常伝導状態にもかかわらずSrxBi2Se3において比熱の2回対称の磁場角度振動が観測された理由として、スピン軌道相互作用が強く働くネマティック相で準粒子状態密度の異方性が大きくなったためにゼーマン効果が顕著に磁場角度に依存した可能性を提案しました。本研究成果はビスマス・セレン化合物におけるネマティック超伝導とその電子状態の関係に迫る上で重要な実験事実であり、結果をまとめた論文はPhysical Review Letters誌に掲載されました
【 2018年8月 】Sr2RuO4の超伝導秩序変数の再検証:超伝導ギャップに水平ラインノードが存在
Sr2RuO4は大変珍しいカイラルp波超伝導体の有力候補として長年注目されてきましたが、近年それに反する実験事実も複数報告されています。その最たる例が面内磁場下で生じる超伝導1次転移です。低温でHc2の抑制を伴うことから「パウリ常磁性効果」が連想されますが、現状のスピン三重項超伝導シナリオとは相容れません。また、擬2次元フェルミ面でカイラルp波超伝導が起きた場合、超伝導ギャップは対称性に守られたノードを持ちませんが、ラインノードの存在を示唆する実験結果も数多く報告されています。そこで我々は、Sr2RuO4の超伝導ギャップ構造の解明を目指して磁場角度分解比熱測定を行いました。ab面内回転磁場中では4回対称の比熱振動が低温で観測されますが、60 mKの極低温まで測定を行った結果、低磁場の比熱振動は符号反転することなく観測され続けることを新たに見出しました。本結果は、有力視されてきた縦ライン状のギャップ極小を持つ超伝導体に期待される振る舞いとは定性的に異なります。そこで、水平ラインノードギャップを仮定して微視的理論に基づく数値計算を行ったところ、フェルミ速度に異方性があれば比熱測定結果を定性的に再現できることを見出しました。さらに、パウリ常磁性効果を仮定すれば、より良い一致が得られることも明らかにしました。本研究成果はSr2RuO4の超伝導秩序変数に再考を促すものであり、結果をまとめた論文はJournal of the Physical Society of Japan誌に掲載されました
【 2018年6月 】磁場回転に伴う磁気熱量効果を利用した磁場角度分解エントロピー測定法の開発
エントロピーは基礎的な熱力学量であり、系の縮重度を反映する重要な物理量です。一般に、エントロピーは比熱の温度変化から見積もることができますが、磁場角度変化まで高分解能に調べるためには複数の磁場方位で比熱の温度依存性を測定する必要があり、測定に膨大な時間を要する点が問題でした。我々は磁場回転に伴う磁気熱量効果を精密に測定することでエントロピーの磁場角度依存性を比較的短い時間で高分解能に測定できる新たな手法を開発しました。ベンチマークとしてスピンアイス物質Dy2Ti2O7の磁場角度分解エントロピー測定を行った結果、スピンフリップ転移の角度依存性を高精度に検出し、モンテカルロ数値計算結果とも良く一致することを示しました。磁場回転測定に加え、従来の磁場掃引に伴う磁気熱量効果も測定すれば、エントロピーの磁場・磁場角度マップを作成することも可能です。今回開発した実験手法は、巨視的な縮退度を有するフラストレート磁性体や多自由度を有する固体凝縮相など様々なエキゾチック現象の研究に有用であり、幅広い分野の研究に新たなアプローチを提供するものとして期待されます。本研究成果をまとめた論文はJournal of the Physical Society of Japan誌に掲載されました


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